3
「かゆいとこないですかー」
「ない」
「即答かよ」
樹がこっちを見てないのをいいことに、改めて身体を見た。
俺からは背中とかしか見えないけど、いい感じに引き締まってる。
俺なんて背ぇ低いし、ガリガリだしなあ。
いいなあ。
髪を洗い流して、俺は湯槽からあがろうとした。
「え、あがんの」
「一緒入んの!?」
「……なに、今更恥ずかしいの?」
あがろうとした俺を湯槽に沈めて、樹も入ってきた。
お互い向かい合う感じ。
「……狭いんですけど」
俺が小柄とはいえ、男二人が入るにはなかなかきつい。
「じゃ、こっち」
腕をひかれて、身体を反転させられる。
樹に背中を預ける感じ。
でもやっぱり、気恥ずかしさみたいなのがあって、上半身は起こしたままだ。
「……力入りすぎ」
「だって、っ」
「身体預けろよ」
後ろから抱き締められる形になって、樹の胸に背中を合わせた。
お互いの体温が直に触れ合って、いつもと違う感じに緊張してしまう。
「髪いーにおい」
「樹も同じシャンプー使ってるじゃん」
「自分じゃわかんないし」
前へ top 次へ