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「かゆいとこないですかー」
「ない」
「即答かよ」



樹がこっちを見てないのをいいことに、改めて身体を見た。
俺からは背中とかしか見えないけど、いい感じに引き締まってる。
俺なんて背ぇ低いし、ガリガリだしなあ。
いいなあ。

髪を洗い流して、俺は湯槽からあがろうとした。



「え、あがんの」
「一緒入んの!?」
「……なに、今更恥ずかしいの?」



あがろうとした俺を湯槽に沈めて、樹も入ってきた。
お互い向かい合う感じ。



「……狭いんですけど」



俺が小柄とはいえ、男二人が入るにはなかなかきつい。



「じゃ、こっち」



腕をひかれて、身体を反転させられる。
樹に背中を預ける感じ。
でもやっぱり、気恥ずかしさみたいなのがあって、上半身は起こしたままだ。



「……力入りすぎ」
「だって、っ」
「身体預けろよ」



後ろから抱き締められる形になって、樹の胸に背中を合わせた。
お互いの体温が直に触れ合って、いつもと違う感じに緊張してしまう。



「髪いーにおい」
「樹も同じシャンプー使ってるじゃん」
「自分じゃわかんないし」



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