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「うー…べたべた…」
「風呂入る?」
沸かしてるけど、と樹がぐったりしている俺の頭を撫でて額にキスした。
情事後。
俺の負担を気にしてかナカには出されなかったけど、俺のとか汗とかで、べたべただ。
「ふらふら…連れて行こうか?」
「っ……誰のせいだっ!」
力の入りにくい足を叱咤して、着替えを片手に風呂場に向かった。
準備がいいというか、見越してるというか、お風呂にはお湯が張られてて。
先に身体を洗う。
「………っ!?」
「驚きすぎ」
樹が苦笑する。
だってそんな、突然風呂場になんて。
身体を洗う手を止めてしまっていたら、スポンジを引ったくられた。
「ちょっ……」
「ほら、あっち向く」
なされるがまま。
背中とか腕とかを洗われる。
「って!何入ってきてんの!」
「駄目?」
「だめ!」
「もう入っちゃったし」
飄々として答えられる。
絶対狙ってただろこいつ!
「なにもしないから」
髪に口を寄せられたら、何も言えなくなる。
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