5
 

side.日向



またまた悠の部屋。
無言のまま、ベッドに寝かされる。
……雰囲気、怖い。



「……僕、行かなきゃ」
「……何言ってんだ」
「仕事、終わってなくて」
「いーんだよ、んなもん」
「良くない!迷惑かけちゃうし、」
「お前、いい加減にしろよ!」



怒鳴られると同時に、抱き締められた。
え、え、と両極端な行動に僕は驚くばかりで。



「ゆ、悠……?」
「周りのこと考えすぎ。たまには自分を大事にしろ」
「え」
「また倒れたら、どうすんだ」



心配すんだろーがと、一層強く抱き締められた。



「残りは裕二に頼んだから。あと少しだっただろ」
「………」
「今は休め、な?」



腕を離して寝かされて、頭を撫でられた。
その時の悠の顔が、ひどく優しくて。



「ごめん、なさい……」
「……さっさと寝ろ」



ぶっきらぼうな言葉の裏の優しさを、僕は知ってる。



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