5
side.綾
……都築のやつ、全然わかってない。
｢別に。からかってやろうと思って｣
｢何でからかうわけ｣
｢何でって……暇だったからだろ｣
｢……あー｣
何やら合点がいったのか、都築が腕を離した。
泣き止んだ俺の顔をじっと見て、頬に残った涙を指で拭った。
｢あれか。さみしかっ、｣
｢違えよ！｣
｢強がんなって｣
｢違うっつってんだろ！｣
赤くなるのがわかって、都築から顔をそらした。
頭上で、都築が笑うのを堪えてるのがわかる。
｢っ……笑うな！｣
｢や、馬鹿にしてるわけじゃなくて｣
｢ったりめーだ！｣
優しく、頭を撫でられた。
｢構ってやっから。ほら｣
｢うっ……もういい！｣
完全に子ども扱いされてる。
むかつく！
俯いたままの俺には、都築の優しい笑顔に、気付くことはできなかった。
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