2
 

side.綾



至って普通なその声に、かちんときた。



「……気分悪い」
「え」
「吐きそう」



ソファに立てた膝に顔を埋めて言い放つと、脇に手が滑り込まれた。
抱えあげられて、洗面所に連れて行かれるのがわかる。

都築の、ばーか。



「……わ、っ」



都築の手からするりと抜けて、自分の足で立った。
きょとんとしたような都築の表情は、何だか笑えた。



「びっくりした?嘘だってーの」



え、と都築は声を漏らす。



「ちょっと邪魔してやろうかなーって、っ痛!」



無言のまま、ぺし、と頭を叩かれた。
言うほど、痛くはないけれど。
わざと頭を押さえる俺を置いて、都築はさっさとリビングに戻って行った。



「ちょっ……」



俺もリビングに戻って、またパソコンの前に座った都築の、後ろのソファに座った。
都築、無言。



「何かリアクションしろよー」
「………」



……あれ?
空気が、なんか。



前へ top 次へ

 
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -