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side.綾



「……ねー」
「んー」
「テレビ見ないの」
「見ないの」
「今面白いよ」
「後でな」
「……何してんの?」
「レポート」



都築は言いながら、目も合わせずにパソコンとにらめっこ。
なんでも、明日提出なのをすっかり忘れていたとか。
都築らしいと言えば都築らしい。

かくいう俺は、フローリングに座る都築の後ろ、ソファに膝を抱えている。
非常に、つまらない。



「忘れるくらいのなら、しなくていいんじゃね」
「……俺出席少ないから、こゆとこで点取らねーと」
「都築の日頃の行いが悪いんじゃん」
「……ちょっとお前黙ってろ」



集中出来ねえだろ、と適当にあしらわれる。

つまんない。
つまんない。
つまんない!

都築の後頭部を睨んでも、振り返ったりはしない。
なんだかむかむかしてきた。

居候なのは、俺。
迷惑かけてるのは、俺。
我儘だけど、なんつーか、つまんない。
笑い声が聞こえるテレビも、今は虚しいだけだ。



「……見てていいのに」



テレビを消すと、都築が呟いた。



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