6
side.恭平
「それで、怒って……?」
「や、違う、ごめん」
「……?」
「高島先生、が……好きだって言うのが聞こえて」
すっかり止まった満月の涙を、指で拭ってやった。
「満月が……自分もだって、言った、から」
「え」
思い出しているのか、満月が一瞬止まって、かぁっと顔を赤くした。
「あれはっ……恭平のこと、言ったんだっ」
「へ?」
「……高島先生、俺たちのこと知ってて……で、相談にきて……宮野先生が好きって言うから、俺も、同じみたいに、恭平が好きだって」
「え……わ、ごめん、最低だ俺」
勝手に勘違いして、怒って、怖がらせて、泣かせた。
「……もう、いい」
「っうー……」
「続きっ……続き、してよ」
顔の赤い満月が、困ったように笑って、抱き返してくれたから。
俺もまた笑って、唇を重ねた。
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