1
side.恭平
時間ができると、満月の元に行くのはいつものこと。
満月が俺のところに来るのも大歓迎だけど、こっちは職員室。
俺が保健室まで行った方が、何かと都合が良い。
会うのは浅井たちが来る前の朝と、たまに昼休みと、浅井たちが帰った後。
毎日来れるわけじゃないけれど、なるべく、とは思う。
放課後。
早めに仕事が片付いて、保健室に向かった。
あわよくば一緒に帰ったり……とも思う。
「皆川先生、高島先生どこかご存知ですか?」
「高島先生……すみません、わからないです」
職員室を出る前、問われて驚いた。
高島先生は割と若い先生で(とは言っても一番若いのは俺だけど)、男にしてはなかなか整った顔をしている。
なんでも、男子校なのにファンクラブがあるとかないとか。
(……ま、いいか)
気にせず、職員室を出た。
前へ top 次へ