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side.恭平
素直に身体を離すと、満月はぽん、と自らの膝をたたいた。
「え、」
「どーぞ」
「え、まじ?」
恥ずかしそうにしている満月が早く、といいながら腕をひいてきた。
慌てて俺は満月の膝に頭を預ける。
ソファに蹲るようにして、横になった。
「みつ、」
「ちょっとだけだからね」
そう言って、満月が頭を撫でた。
髪を梳くようにいじられ、空いた耳に微かに満月の吐息が聞こえる。
これは。
「きもちー、かも」
「そ」
頭上で満月が少しだけ笑ったのがわかった。
満月の匂い。
手のぬくもり。
優しい声。
自然と、瞼が落ちる。
「ね、恭平」
「んー…?」
「今誰か来たら、まずいね?」
「……まずいな」
「どく?」
「やだ」
即答すると、満月が困ったように笑う。
それさえも、愛おしい。
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