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side.恭平
「ちょっ……今、しなっ、て」
「……そうだった」
焦ったような満月の声に我に返って、荒くなっていたキスをやめた。
「俺はいいけど」
「誘ってんのか?」
「シないんでしょ」
「シたい」
「いいよ?」
「……煽んな馬鹿」
満月がくすくす笑う。
押し倒したい衝動を理性で抑えつけて、もう一度だけキスをした。
「……恭ちゃん帰らなくていーの?」
「……もうちょっと」
仕事は実はまだ残ってる。
急ぎというわけでもなく、けれどしなくてはいけないのは確かで。
満月の家に行く余裕まではないから、こうして過ごす時間は今しかない。
出来ることなら、満足するまで、満月のそばにいたいのに。
「仕方ないなあ……ちょっと恭ちゃん、どいて」
「?」
抱き締めたままでいたら、身体を離された。
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