3
 

side.恭平



「ちょっ……今、しなっ、て」
「……そうだった」



焦ったような満月の声に我に返って、荒くなっていたキスをやめた。



「俺はいいけど」
「誘ってんのか?」
「シないんでしょ」
「シたい」
「いいよ?」
「……煽んな馬鹿」



満月がくすくす笑う。
押し倒したい衝動を理性で抑えつけて、もう一度だけキスをした。



「……恭ちゃん帰らなくていーの?」
「……もうちょっと」



仕事は実はまだ残ってる。
急ぎというわけでもなく、けれどしなくてはいけないのは確かで。

満月の家に行く余裕まではないから、こうして過ごす時間は今しかない。
出来ることなら、満足するまで、満月のそばにいたいのに。



「仕方ないなあ……ちょっと恭ちゃん、どいて」
「?」



抱き締めたままでいたら、身体を離された。



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