2
side.満月
「終わったよ」
「……こっちきて」
ようやく恭平が身体を起こして、ソファをあけた。
ぽんぽん、とたたくそこに、素直に座った。
「……珍しい、恭平がそうなんの」
「……」
黙ってぎゅう、と抱き締められ、恭平が深呼吸したのがわかった。
どうやら相当まいっているらしい。
俺は「落ち着く…」と呟く恭平の頭を撫でてやる。
「疲れてんの?」
「……うん」
「……する?」
「……うん。……や、やっぱしない」
加減きかなくなるから、と身体を離される。
「……ちゅーして」
「え?」
「満月からして」
両頬をつかまれ、ぐいっと顔を近付けられた。
普段なら拒否するところだが、今の恭平だから、うん。
首に腕を回して、唇を重ねた。
「……ん、っ」
「……」
啄むようなキスを何度かすると、舌をねじ込まれ、主導権をあっさり握られた。
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