3
気付いたら、ベッドにいた。
僕のへや、いつの間に……?
「………」
サイドテーブルに、スポーツドリンクやゼリーやら置いてあった。
ゆっくり思い出す。
乾君だろうか。
ちか、と携帯が光っていた。
残されたメールには、『ゆっくり休みな』とぶっきらぼうな乾君の言葉。
こんなこと、言う人だったっけ。
意外にも優しいそれに、あっけにとられた。
他にもメールがきていた。
たくさんの、先生からのメール。
僕が長く返事をしなかったからだろう、何気ないそれから心配したようなものに変わっていた。
たまらず、電話した。
『っ雨宮、』
『せ、んせ……っ』
『心配しっ……なに、泣いて』
『せんせ、会い、たいっ……』
先生、先生。
何度も呼んだ気がする。
わかった、今から行く、と先生の声がして電話を切った後、思わず寮を飛び出した。
「雨宮っ」
「っ………」
寮から少し離れた道で、先生の車が隣に止まった。
涙で言葉がでない僕を、先生は腕をひいて車に乗せてくれた。
一度だけ強く抱き締めて、ハンドルを握る。
時折伸びる手が頭を撫でてくれて、涙は、止まることはなかった。
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