2
 

「今日はここまで」



チャイムと同時に先生が切り上げて、教室が騒めいた。
教科書を整えていたら、



「雨宮!」
「っ………」



突然呼ばれて、びっくりした。
教室を出ようとしている先生が、振り返ってこっちを見ていた。



「今日の宿題、集めて持ってきて」
「あ、は、はいっ」



何事もないように、先生は歩いていく。



(……なんで、かな)



僕はいちいち、先生に話し掛けられたらびっくりしてしまう。
誰も僕たちの関係は知らないから、バレるんじゃないかって。
慌てた方が不自然だってわかるけど、自然に出来るだけほど僕は器用じゃない。

先生は大人だからかもしれないけど、すごく普通にしてるから。
余裕、みたいなもんだろうか。



(……後で、宿題持っていこ)



こんな些細な時間でも、楽しみになる。
それさえ、誰も知らない。

僕と、先生だけの、秘密。



前へ top 次へ

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -