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「今日はここまで」
チャイムと同時に先生が切り上げて、教室が騒めいた。
教科書を整えていたら、
「雨宮!」
「っ………」
突然呼ばれて、びっくりした。
教室を出ようとしている先生が、振り返ってこっちを見ていた。
「今日の宿題、集めて持ってきて」
「あ、は、はいっ」
何事もないように、先生は歩いていく。
(……なんで、かな)
僕はいちいち、先生に話し掛けられたらびっくりしてしまう。
誰も僕たちの関係は知らないから、バレるんじゃないかって。
慌てた方が不自然だってわかるけど、自然に出来るだけほど僕は器用じゃない。
先生は大人だからかもしれないけど、すごく普通にしてるから。
余裕、みたいなもんだろうか。
(……後で、宿題持っていこ)
こんな些細な時間でも、楽しみになる。
それさえ、誰も知らない。
僕と、先生だけの、秘密。
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