5
僕は、弱い。
「ん……ふぅ、んっ」
「雨宮……」
「んんっ……ん」
壁を背にしたまま、僕は逃げられることもなく、先生に何度もキスされた。
「んぅ……っ」
少し乱暴なそれは、僕の口内を犯す。
僕の存在を確かめるように、先生の手が身体中を滑った。
「ん……せ、んせ……」
「どこも、いかないで」
「……?」
「目離した隙に、お前消えちゃいそうだから」
先生は、泣きだしそうな顔をして笑った。
不安なのは、僕だけじゃ、なかった……?
「せんせ、もういっかい……」
「?」
「もっかい、する……」
先生が、僕の存在を確かめたように。
僕も先生の存在を確かめて、唇を重ねた。
「……もう、不安、ない?」
「は、い……」
「ん、良かった」
「ごめ、なさい……」
僕が、先生を傷つけた。
また先生の指を舐めようとすると、先生の顔が近づいて、ちゅっとキスされた。
「雨宮なら、いいよ」
「……?」
「男の勲章ってやつ」
良く、わからないけど。
先生が笑ってくれるなら、それでいい。
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