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side.譲



「ひっ……」
「………」
「は……はぁっ、あ、」



混乱する雨宮をただ抱き締めて、背中をぽんぽんと叩いた。
俺の肩に雨宮の頭を押さえつけ、耳元で呟いた。



「陸、」
「……あ……」
「陸」
「……せ、んせ……?」



ぱっ、と身体を離されて、焦点のあった雨宮と目があった。



「あ……ごめ、なさっ……ゆび、ぼくっ」
「平気」
「血がっ、ゆび、」



雨宮が俺の手を掴んで、指先に口付けた。
僅かに滲んだ血を、ぺろぺろと舐める。
威嚇していたこいぬが、嘘のように。



「雨宮、大丈夫だから」
「や、でも、怪我っ」
「俺なんてどうでもいい、」



雨宮を掻き抱いた。
未だ震える身体を、何度も何度も擦ってやる。

俺の体温が、移ればいい。
震えが、止まればいい。



「……薬、いっぱい飲んだのか」
「……ん……」
「こわいの、治らなかったのか」
「………ん」



瞬きした隙に消えてしまいそうなほど、雨宮は儚い。



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