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side.譲



金曜は大体、雨宮が泊まりにくる。



「雨宮、今日」
「あ……」



放課後、廊下でばったり会って、そっと耳打ちした。
けれど雨宮は、ばつの悪そうな顔をして、



「すみません、今日は……」
「ん、忙しい?」
「あ……は、い……」



俯かれる。
ちっとも目を合わせない。



「もう帰るのか」
「はい、」
「わかった。靴履きかえてまってろ」
「え……あの、」
「俺の家こい」
「ちょっ」



何か言われる前に、その場を去った。
雨宮は根は真面目だから、こう言ったからには従うはず。

案の定、俺が荷物をまとめて駐車場に行くと雨宮がいて。



「行くぞ」
「なん、ですか」
「俺の家行くのに理由はいらないだろ」
「………」



屁理屈だってわかってる。
誰もいない間に手をひいて、車に乗せた。

目を、合わせない。



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