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side.譲



「……あの」
「んー?」
「重い、ですけど」



キッチンに立つ雨宮の背中に抱きつく、俺。

放課後俺の部屋に来て、食事を済ませた。
いいって言ってるのに気を遣って、皿洗いまでしてくれている。



「お皿、片付けられない……」



言いながらも、雨宮は苦笑していて嫌がらない。
こういうの、同棲してるみたいでいいなぁと思うんだが。



「もう終わりましたから、」
「さんきゅな。ほんと、いい嫁になるぞ」



手を取ってソファに導きながら、からかって言ってやると、



「っ……」
「……?」



ぐっ、と雨宮の手に力が入った。
ソファに座っても、俯いたままで目を合わせない。
……からかったのが気にさわったんだろうか。



「雨宮?」
「………」
「なに、気に障ったならちゃんと言って」



両頬に触れて顔をあげさせるけれど、目はあわせてくれなかった。

雨宮は繊細だ。
気付かないような些細なことで、繊細な心に傷がつく。
捲った袖の下に見える傷は、そんな繊細な雨宮の苦しみ。
わかって、やりたいのに。



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