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side.譲
雨宮のぬくもりを、腕に感じた気がした。
「俺は明日の職員会議が憂鬱になる」
『僕は、英語の小テスト……』
「会議が終わって、職員室に残る。鍵当番」
『委員会で……教室に残る』
雨宮の声が、眠たそうだ。
もう少しで、眠れるだろうか。
「施錠の見回り。1階から」
『如月が……先に、帰る……』
「2階に移動する」
『先生が、くる』
「雨宮に、会う」
『先生、は……一緒に、って』
「俺は手を引いて」
『僕は、ついていく……』
雨宮の声が小さくなる。
「俺は、今日、うち泊まる?と聞く」
『僕、は……はい、って……』
ことん、と携帯が手から離れる音がした。
数秒確認して、電話をきった。
明日、泊まりにきてくれるらしい。
部屋掃除しとかなきゃな。
柔らかい雨宮の寝顔が目に浮かんで、俺は願う。
どうか、怖い夢は、見ませんように。
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