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『……雨宮、聞いて?』
「っ……はい、」
『今、どこにいる?』
「……リビング……」
『備え付けの救急箱、あるだろ?取ってこれる?』
先生が、優しく指示してくれる。
声を聞くと安心して、慌てずに、傷の処置ができた。
きっと一人じゃ、何も出来なかった。
「でき、ました……」
『ん、頑張ったな』
「っ………」
傍にいないのに、頭を撫でられた気がした。
『俺、今雨宮の頭撫でてんの』
「………!」
『雨宮は……俯いてる?』
……なんで、わかるんだろう。
『立って、寝室に、行く』
「……はい」
『寮の間取りは、ええと……目の前に、ベッドがある』
先生が傍にいるみたいに、一つずつ、伝えてくれる。
僕は声に従って、寝室に向かった。
『ベッドに、入る』
「……はい、」
『俺も、入る』
「ぷっ……」
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