9
 

先生の、僕の背中を撫でる手が、温かい。



「せん、せ……」
「ん」



呼べば、返事があって。
抱き締めれば、抱き締め返されて。
それだけで、いい。



「僕、いいんです、」
「?」
「旅行、とか……っ行きたいけど、でも、」



僕は、ただ、



「先生が、傍に、いてくれれば……」



それだけで、いい。



「っ……雨宮なぁ」
「……?」
「ま、いいや」



額に、ちゅっと音をたててキスされた。



「ずっと傍にいてやる」
「っ………」



優しい、声。



「また来年も、花火見ような」
「はい……っ」



この温もりだけで、僕は、満たされる。



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