8
side.譲
「あ、あの……」
「ん?」
花火で掻き消えそうな声。
口元に耳を寄せると、小さな声で、
「キス、したい……」
「っ……」
それ?と思うと同時に、あまりの可愛さに胸がきゅっとなる。
「お前なあ……」
「うぅ……」
「そんなん、何回でもしてやる」
恥ずかしがる雨宮の顔を固定して、唇を重ねた。
「ぅ……ん、っ」
「……もっと?」
「っ……もっと、」
「了解」
息をしようと微かに開いた雨宮の口に、舌をねじ込んだ。
最初は驚いたようにびくりとして、しかしゆっくりと、それに応えた。
「ん、んっ……はぁっ」
「息してる?」
「は、はふ、っ……」
息の仕方も知らないなんて、初々しい。
でもそういうところが、うれしくなる。
俺が初めてだって、俺のものなんだって。
「大丈夫か?」
「は、い……」
「ごめん、長かったな」
唾液を拭うように、ぺろりと雨宮の唇を舐めた。
……本当は、この先までしたいけど。
ここは学校だし、雨宮はまだ子どもだし、俺は教師だし。
我慢我慢、と言い聞かせた。
きゅっと抱き締める雨宮の腕だけで、今は十分だ。
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