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side.譲
指で涙をぬぐってやる。
「やっぱこんな間柄だし、堂々と人前に出るのは、難しいけど」
「………」
「ちょっと遠くに行けば、そんなの気にしなくていいし、な」
「っ……はい」
甘えたような声になって、肩に顔を埋められた。
頭をぽんぽんと撫でてやる。
「夏休みだし、色んなとこ連れてってやるよ」
「え」
「行きたいとこあれば言いな」
「でも、」
「遠慮するな、こいびとのお願いくらい聞くから」
雨宮の場合は欲がなさすぎるんだ。
もっと、甘やかしてあげよう。
「祭り、行く?遠くのやつ」
「は、い……」
「あとは……やっぱ海だな、旅館とか……でも雨宮インドアっぽいな」
「海、行きたい……」
「ん、じゃ行こう」
色んな計画が立てられる。
「他は?行きたいとことか、やりたいこととか」
「あ、う……」
雨宮が何か言いたげに、言葉を濁らせた。
「なに?」
「う、」
「迷惑とか思うなよ、好きなやつのお願いは、叶えてあげたいもんなの」
「っ……」
顔、真っ赤。
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