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side.譲



「……雨宮?」



後ろから抱き締めていたら、俺の腕に手を添えて、雨宮が肩を震わせるのがわかった。



「泣いてる……?」
「う、ごめ、なさっ……」
「なに、どうした」
「一緒、花火……見れると、思って、なかっ……」



嬉しい、とポツリと呟く声が聞こえた。

花火なんて、見ようと思えば見れる。
出掛けたかったら車走らせてでも、出掛けることだってできる。
雨宮が望むなら、出来ることは、してあげたいと思う。

花火を一緒に、しかも学校とかいう色気のない場所で、見れただけなのに。



「う、っ……ひっく、」



泣くほど、嬉しいなんて。



「泣くな」
「うー……」
「かわいい顔して」



身体を横に向かせる。
閉じた瞼に、キスを一つ。
雨宮はくすぐったそうに震えて、少しだけ、目が開いた。



「お祭りまで、一緒行けなくて、ごめんな」
「っ……」



小さく、首が横に振られた。
気、使ってるんだろう。

雨宮を向かい合わせにして、俺の膝の上に乗せた。
きゅっと首に腕が巻き付けられた。



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