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いや、でもお祭りなんて行けない。
人のいない今だから手を繋いだりできるけど、人前で先生と生徒が二人っきり、なんて。
……無理な話、だよなぁ。
「……どうした?」
「っ………」
「なんか辛いか?」
立ち止まって、先生が覗き込んできた。
心配そうな顔に、なんだかぐっときた。
「なん、でもなっ……」
「泣きそう」
「う、……」
手をひかれて誰もいない教室に連れ込まれ、机に座らされた。
「どうした?俺には話せない?」
「っ………」
頭を撫でる手がやさしくて、僕は泣き出してしまった。
先生はぴたりと手を止めて、頭を抱えてくれた。
「ふぅ、っ……う、」
「よしよし」
「う、ぅーっ……」
先生と、普通に外を出歩きたい。
如月たちみたいに、デート、したい。
我が儘だって、わかってる。
でも、やっぱり、
「……落ち着いたか?」
「はい……」
「なんかあった?俺が原因?」
「ちがっ……」
話しても、いいかな。
でも、迷惑だと思うかも。
「俺には話せない?」
「っ……」
「……ん、わかった」
見回り終わらすし、落ち着くまでここいな、と言って先生が離れていく。
咄嗟に、裾を掴んでしまった。
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