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side.譲



「俺は、お前の兄貴と付き合ってたよ」
「っ……」
「本気で好きだったし……死んだって聞いたとき、どうしていいかわからなかった」



雨宮の身体が強ばるのがわかる。
でもちゃんと、話さなきゃいけないから。



「事件のことは知ってる、でも雨宮のせいで、なんて思ってない」
「………」
「……教師になって、雨宮と出会って……正直かなり動揺した」



律と重なって、と言うと腕の中で暴れられた。
咄嗟に抱き込んで、耳元で声を紡ぐ。



「でもやっぱり、雨宮陸は雨宮律とか違うわけで……気になってるうちに、"雨宮陸"に意識が向いてった」
「っ………」
「教師と生徒だし、黙ってるつもりだった。でもお前が……その、昔のこと気にして、傷付いてるの知って、俺が支えてやりたいって思った」



大人しくなった雨宮を見ると、目にいっぱい涙を浮かべていた。
指で拭ってやって、また胸に押しつけた。



「今まで雨宮にあんま手ぇ出せなかったのは、俺がヘタレなせい」
「……?」
「律みたいに……また俺が大事にしたいやつがいなくなるかもって思ったら、怖くなった」
「………」
「大事にしなきゃなのは、お前の気持ちなのにな」



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