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side.譲



案の定、雨宮は暴れた。
しかし次第に力は弱くなっていった。
代わりに大きくなるのは、泣く声。



「ふぇっ……う、」
「……ごめんな」
「うっ、うー……っ」
「消毒しなおすから」



また家に連れ帰って、抱き締めて、落ち着かせて。
ゆっくり話をして、それで、



「やだ、っ……嫌だっ」
「え?」



弱く、けれどしっかりと、雨宮が俺の背中を叩いた。



「帰るっ……も、一緒、……やだ……っ」
「っ……」



明らかな否定。
息が、詰まるかと思った。

それほどに、俺は雨宮を傷付けた。
でかいものを抱えた細い身体を、さらに傷めつけた。

……最悪だ、俺。



「……せめて、送らせろ」
「っう、……ひっく」



言葉が足りないのはいつもそう。
それで、傷付けてしまう。

どうして俺はこんなに不器用で。
どうして雨宮はこんなに否定的で。
どうしてこんなに、すれ違うんだろう。

肩に担ぎあげた細い身体の温もりを、頬に感じた。



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