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「はぁっ……はぁ、っ」
気が付いたら、知らない場所にいた。
人気のない公園があって、木陰に隠れたベンチに座り込んだ。
飛び出して、どうしろっていうんだろう。
でもあのまま冷静に、先生と話をする余裕はなかった。
「はぁ……は、」
先生は、知っていたはずだ。
僕が弟だと言うことを。
お兄ちゃんを殺した僕を、恨んでいるだろう。
じゃあどうして、付き合ってなんか言って、
「……!」
袖を捲った。
先生が巻いてくれた包帯。
間違ってはいない、と。
お前のせいじゃない、と。
告げたその言葉は。
「ふ、っ……う、っく」
嘘だった?
僕は、お兄ちゃんの―――代わりだった?
「せん、せっ……」
包帯をちぎるように取った。
テープも剥がして、傷が見える。
足りない、足りない、と。
赤がでるよう引っ掻いた。
爪をたてて、深く、深く。
代わりの優しさなんて、いらない。
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