4
 

「はぁっ……はぁ、っ」



気が付いたら、知らない場所にいた。
人気のない公園があって、木陰に隠れたベンチに座り込んだ。

飛び出して、どうしろっていうんだろう。
でもあのまま冷静に、先生と話をする余裕はなかった。



「はぁ……は、」



先生は、知っていたはずだ。
僕が弟だと言うことを。

お兄ちゃんを殺した僕を、恨んでいるだろう。
じゃあどうして、付き合ってなんか言って、



「……!」



袖を捲った。
先生が巻いてくれた包帯。

間違ってはいない、と。
お前のせいじゃない、と。
告げたその言葉は。



「ふ、っ……う、っく」



嘘だった?

僕は、お兄ちゃんの―――代わりだった?



「せん、せっ……」



包帯をちぎるように取った。
テープも剥がして、傷が見える。

足りない、足りない、と。
赤がでるよう引っ掻いた。
爪をたてて、深く、深く。



代わりの優しさなんて、いらない。



前へ top 次へ

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -