6
side.譲
途切れ途切れに、雨宮は言う。
ごめん、ごめんなさい―――お兄ちゃん、と。
何に対して謝っているのかはわからないけれど、あの日が関係しているのは明らかで。
まだ癒えぬ傷に、俺も、心を痛ませる。
今までずっと、一人で泣いていたのだろうか。
「雨宮」
「ふぇっ、……う……っ」
「好きなだけ、泣け」
「っん、うー……っ」
一人で泣くなと。
受けとめると言ったから。
その傷も引っ括めて、受けとめてやりたいから。
「ごめん、ねぇっ……」
「………っ、」
雨宮にバレないよう、俺も、泣いていた。
見られないように、雨宮を胸に抱き込んだ。
「……一人じゃねえよ」
悲しいのは。
泣き止んだその次に、一人にならないよう。
俺がそばにいてやるから。
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