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side.譲
「そこ、座んな」
「……はい、」
明らかに挙動不審な雨宮を、ソファに座らせた。
俺の住むマンションと気付いたのか、きょろきょろしている。
俺は棚から道具を持って、その隣に座った。
「っ……」
「大人しくしてろ」
なるべく優しく言って、雨宮の左腕を取った。
荒くまかれた包帯を、ぱらぱらと取っていく。
「やだっ、やっ……」
「大丈夫だから」
「嫌だ、っ……せんせっ……」
嫌がって泣き出す雨宮の頭を撫でながら、腕を顕にした。
やっぱり。
「……ちゃんと消毒しろ」
「うっ……ふ、っ……」
「染みるけど我慢しろな」
ろくに処置もしないまま、傷を隠すために包帯を巻いたのだろう。
血が張りついていたし、傷は少し開いていた。
消毒をしてやり、丁寧にテープも巻いてやる。
縫わなければいけないほど深い傷は、今回はなかったようだ。
「ん、終わり」
「ふぇ、っ……ひっく、」
「ほら、泣くなって」
「せんせ、……僕、」
震える声で、雨宮は言う。
「僕、気持ち悪い……っ?」
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