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side.譲



付き合うとはいえ、俺と雨宮の距離は今までと変わらなかった。
それは先生と生徒の間柄だからというのもある。
俺も好意があり、雨宮の好意もわかる。
どうせなら車で遠くまで連れていってやれることもできるが、それができないでいるのは俺のせい。



得たものが大きいほど、失ったときの痛みがでかい。
それを嫌というほど思い知っていて、何かを得るのが怖くなった。

雨宮もいつか、いなくなるのかもしれない。
いなくならない保証はどこにもない。
だから俺は、何もできないでいる。



「……昨日、何かあったか」
「………」



俺と雨宮が二人っきりで話すのは、ほとんどが放課後だ。
理由なんてなんとでも付けられる、委員の仕事やら補習やら。



「雨宮、」
「っ……ごめ、なさっ……」



雨宮の腕には、真新しい包帯がまかれていた。
それは傷が増えたことを意味していて。



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