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昔―――それは6年前のことだった。
僕の兄、雨宮律は、僕の目の前で死んだ。



あっという間の出来事だった。
当時小学生だった僕と、高校生だったお兄ちゃん。
歳は離れていたけれど、仲は良かったと思う。

その日、僕はおつかいの帰り、偶然学校帰りのお兄ちゃんと会った。
暗くなりかけてた中、ちょっとだけ安心したのを覚えてる。
二人並んで、静かな住宅地を歩いてた。

その時、お兄ちゃんは刺された。
隣町で被害があった、通り魔だったと後で聞いた。
僕を守るように―――僕を抱き締めたお兄ちゃんは、背中を滅多刺しにされた。
それでも、腕の力は緩めなかった。

血だらけのお兄ちゃんは、もう、動かなかった。

僕のせいで、お兄ちゃんは、死んだ。



(……また、)



やってしまった。
腕から滴る赤色。

お兄ちゃんの痛みは、こんなもんじゃなかった。
僕のせいで、お兄ちゃんは、



今日も僕は、罪を残す。



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