6
僕はただ静かに、赤を流す。
「っはあ、は……っ」
僕が傷を増やすのは、決まって夜。
暗闇は僕を、孤独にする。
「っ……ごめ、なさっ……」
一人、泣き叫ぶ。
寮部屋の隣人に漏れぬよう、声を押し殺す。
何度も、何度も、傷つける。
これは、罪。
忘れたい。
忘れてない。
忘れられない。
こんな僕のせいで死んだ―――兄の事。
「う、ぇっ……ふぅ、っ」
涙と、赤が、止まらない。
床に染みを作っていく。
ねえ先生。
僕はこんなに汚いよ。
僕はこんなに醜いよ。
「人殺し」の僕を、
それでも愛してくれる、?
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