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side.譲



もともと雨宮には好意を寄せていた。
気もあうし、素直で可愛いし、一人の生徒として見られなくなっていたのは事実だった。

雨宮の傷を初めて見たとき、
「あぁ、同じだ」と思った。

救われたような気がした。
俺はやっと、生きる術を見つけたような気がした。

ただ、雨宮が欲しくなった。



同じ傷を、
同じ血を持つ、雨宮を。



「……傷、見せて」
「ひっ、く………ふ、」



雨宮は泣きながら、傷だらけの腕を差し出す。
どれほどの苦しみが、これほどの痛みに追い込むのかというくらい、その傷はひどいもので。

同時に、唇を寄せたくなる。
雨宮の泣き声が、ひどくなる。

俺は涙を拭ってやる。
俺は違う、と。
傷ごと受け入れると。
傷ごと愛して、理解して。



俺がそばにいるよ、と。
震える細い肩を抱き締めたくなる。



それを実行に移せないでいるのは、俺の弱さ。

忘れたい過去と、
忘れられた過去と、
忘れられない過去と。

それに、縛られ続けている。



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