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僕はわけがわからなくなっていた。
「せんっ……え、っ」
「……雨宮」
そんな僕の心境なんて無視して、先生は僕を抱き締めてきた。
びっくりして身体が硬直して、息が、出来なくなった。
「……付き合おっか」
「……え?」
まるで日常会話の一部のように、先生は言った。
僕に有無を言わさぬよう、「な?」と同意を求めてあやすように頭を撫でてくる。
僕は頷くしかなかった。
けれど、それだけ。
僕と先生の距離は然程変わってもいない。
2人で出掛けたこともないし、会うのは学校でだけ。
あの日のことは、夢だった?と思えるほど。
ただ違うのは、
「雨宮、傷、見せて」
先生がいつも僕の傷を
見たがるということだった。
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