1
 

side.譲



「せんせ、」
「ん、おはよ」



寝室からひょこ、と顔を出した陸のそばによって、抱き上げた。
そのままソファに座って、ぽんぽん、と細い背中を叩く。



「飯、食う?」
「………」



ふるふると、首を振られる。



「も、すこし、このまま……」



ん、と返事をして、ソファに横になった。
陸を腕の中に抱いたまま。
陸は安心したように、力を抜いた。

すっかり、弱々しくなってしまった。
前は多少なりしっかりした性格だったけれど、そんな影も見られない。

甘えたらいい、と思う。
真面目で、頑張り屋。
一人で色んなものを背負ってきたから。



「眠たい?」
「ん……」



目がとろんとし始めた陸の頭を撫でると、気持ち良さそうに目を細める。



「寝ていいよ」
「ん……」



もぞもぞと、身動ぎする。
……可愛いな。



「あったかい……」
「ん」



もっと、俺にもたれかかればいい。
もっと、俺に甘えればいい。

どんなことがあっても、受け止めてあげるから。

もう、何もできないまま、大切な人を失うのはごめんだ。



前へ top 次へ

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -