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side.譲



名前を呼ぶと、陸はゆっくりと目を開けた。
つ、と涙が流れ落ちた。



「あ……」
「怖い夢、みたか」



朝。
すっかりカーテンの向こうは明るくなっている。



「ぼ、ぼく、」



呆然として、かたかたと小刻みに震える陸の身体を起こした。
抱き締めて背中を撫でてやる。



「ぼく、ぼくの、せい、で」
「ん?」
「みんな、ふこうに」



こんなに、痩せてしまった。



「俺は、陸と一緒にいるのが、幸せだ」



小さな小さな、俺の恋人。
どうしたらその不安から、救ってやれる?



「なんで、いきてるの」



どうしたら、笑わせてあげられる?



「……陸、もっかい、眠りな」
「や……」
「薬飲んで、な?」



ぐずる陸を言い聞かせて、もう一度、寝かせる。
このまま起こしていても、悪い方向に向かうだけだから。



(「なんで、いきてるの」)



ぽつりと呟いた声が、耳に残る。

俺が学校から帰ってくると、にこにこして待っていたのに。
寝起きの、夢と現実が交ざったこのとき。
きっと、本当の陸は、こっち。



「………」



陸の頬に残る、涙を拭った。



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