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僕は、目が見えなくなった。

学校は、しばらく休学をする手続きをとったと先生に言われた。
治るまでは、先生のおうちにお世話になっている。



「ん、あーん」
「っ……」



ご飯は、先生が食べさせてくれたりするけど、やっぱり恥ずかしい。



「じ、自分でっ……自分で食べれます!」
「そういってスープ溢して火傷したのはどこのどいつだ」
「う、」



きっと、僕の顔は真っ赤だろう。
おずおずと口をあけると、ふっと笑った声がして、ゆっくりスプーンが入ってくる。
いいあったかさの、シチュー。



「おいしい……」



思わず呟くと、そっと頭を撫でられた。



目が見えなくなって、僕は夢と現実の区別がつかなくなった。
こんな幸せなら、夢なのかも知れないなぁ、とも思う。
いつか世界がはじけて、夢が終わってしまうんじゃないかって思う。



「陸……?」



それでも、先生の声がするから。
心配そうに頬に触れた手が、温かいから。

夢じゃないんだって、安心できる。



「先生、」
「ん」
「せん、せ」
「うん」
「……っ」
「……なに泣いてんだ」



指で涙を拭ってくれる。

ほら、夢じゃない。



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