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side.譲



「こわ、っ……こわい、」



異常に気付いた雨宮が、一番戸惑っているはず。
俺は咄嗟に雨宮を抱き締めて、驚かせないように耳元で囁いた。



「雨宮、大丈夫、俺がついてる」
「や、せんせ、見えなっ……」
「ここにいるの、わかるだろ?どこにも行かないから、」



大丈夫だから、落ち着け、と背中を撫でた。
けれど雨宮は、俺に体重を預けようとはしなかった。



「うそ、」
「……?」
「せんせ、は、もう、僕がいらないっ……僕のこと、きらっ……に、」
「雨宮、」
「ばちが、あたった……ぼくは、最低、だから」
「雨宮っ」



強く強く掻き抱いて、自嘲的な言葉を止めた。



「……全部、聞いた。乾から」
「っ……!」
「お前は、何も悪くないよ」



ばたばた暴れる雨宮を、押さえつけるように抱き締め続けた。



「何も、悪くない。俺が、気付いてやれなかった」
「っ……、っ」
「ごめんな……」



今は光を失った雨宮の目から、そっと涙を拭った。
思わぬ動きに、また雨宮はびくりと驚く。



「俺のせいで、つらい思いさせて、ごめん」
「っ、」
「俺のせいで、傷つけた」



俺と目の合わない雨宮が、恐る恐る口を開いた。



「ぼ、ぼくの、こと」
「うん?」
「きら、きらい、じゃない……?」



あまりに怯えたように聞くから。
胸を痛めると同時に、返事の代わりにそっと、雨宮を抱き締めた。



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