5
side.譲
部屋に雨宮を連れ帰った。
ベッドに寝かせて、顔色の悪さに心配になる。
「……ぅ、や……」
「雨宮、」
いやいや、と雨宮は首を振る。
夢を、見ているのだろうか。
微かに手が動く。
「やああ――――っ!」
「っ」
叫ぶと同時に、びくんっと身体が跳ねた。
ばっ、と目が開いて、はふはふと空気を貪るように吸っている。
「あ、ぁ、っ……」
混乱してる。
咄嗟に身体を起こして、抱き締めた。
「雨宮、雨宮っ」
「ぁ、あっ、」
「大丈夫、な、怖くない」
震える背中を撫でて、ぎゅう、と抱き締める。
「ぃ、かな、で……」
「ん、どこにも、いかない」
「せんせ、どこ、どこいったの……」
夢の続きだろうか。
ぼんやりとした雨宮に、そっと、口付けた。
悪夢は、もう、終わり。
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