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side.乾
「好き、だった……」
ポツリと呟かれた、雨宮の声。
大きな目から、ぽろぽろと涙が溢れていた。
「せんせ、のこと、好きだった」
「……うん」
ずきん。
胸が痛くなる。
「すき、今も、すき……でも……っ」
ずきん、
「行っちゃったぁ……っ」
泣かせた。
俺のせいで。
「雨宮っ……」
胸に抱き込んで、ぎゅうっと抱き締めた。
雨宮は一瞬だけびくりとして、そろそろと身体の力を抜いた。
「いぬい、く……?」
「俺じゃ、駄目か」
「え……?」
ずっと、見てた。
柔らかな笑顔を、ずっと見てた。
自分のものにしたかった。
隣で笑ってほしかった。
「俺なら、絶対にどこにも行かない。雨宮を、一人にしない」
「っ………」
先生と関係があるって知った。
なにかが崩れ落ちるみたいだった。
でも、自分のものにしたくて。
結果として、雨宮を、泣かせた。
最悪なやつ。
今までひどいことをしてきた。
だけど、伝えたい。
「ずっと、好きだった」
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