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先生に嫌われてしまった。
悲しくて悲しくて。
その原因を作った張本人なのに。
一人になるのはもっともっと悲しくて。
先生は、いなくなってしまった。
乾君もいなくなってしまう。
「や、やだ、っ」
気付いたら、立ち上がった乾君の手を引っ張っていた。
子どもみたいだ、と頭の片隅ではわかってるのに、僕の手は固まってしまったみたいに動かない。
「雨宮……?」
「や、行かないでっ……」
忘れていた涙が、一つ流れた。
止まらなくなって、泣きじゃくったまま、乾君の大きな手を握っていた。
僕は、一人になってしまうの?
お兄ちゃんが、死んで。
両親とも距離を感じて。
先生ともさよならをして。
(駄目、だったんだ)
人殺しの僕は、
幸せになっちゃいけなかったんだ。
これからもずっと、一人。
一人で、生きていかなきゃいかないんだ。
「……お願いだから、泣くな」
気付いたら目の前に、困ったような乾君の顔があった。
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