3
 

ぱっと身体を離した先輩が、背後に向かって声をかけた。
隠れていたのか、如月が、ひょこっと現れた。



「っえ、何……うわっ、」
「すみません先輩、こいつ、連れて帰ります」
「ん、じゃあね。次はゆっくりお茶しよ」



もうパニック状態。
何を穏やかに話してんの、この二人。

樹に肩に担がれるようにされたまま、羽鳥先輩の寮部屋を出た。
外はもうすっかり夜で、暗闇と人気のなさをいいことに、樹は歩調を緩めぬまま家に向かっていた。

終始無言。
俺は恥ずかしい気持ちとか、申し訳ない気持ちとか、まだ樹が怖かったりとかで、とりあえず落ちないようにしがみつくので必死だった。

しばらくして樹の家に着いて、どさりとおろされた。
……ベッドに。



「いつ、っん」



あっという間に馬乗りにされて、口をふさがれた。



「ん、っ……ふ、ぅあっ……」
「……」



俺の唇の隙間から舌をねじ込まれ、深く絡められた。
樹の手は服の中に伸びていて、突然のそれに俺は思わず声を上げてしまった。



「ちょっ……待、っ」
「……」



シャツのボタンが全開になり、顕になった俺の上半身に樹の手が這った。
反応してしまうけれど、急すぎて頭が追い付かない。
力の限りで樹の肩を押した。



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