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気が付いたら羽鳥先輩に電話していた。
羽鳥先輩はすぐ来てくれた。
わけがわからなくなった俺を抱き締めて、「もう大丈夫だよ」と言ってくれた。
救われたような気がした。



目が覚めると朝で、もう羽鳥先輩は家を出る頃だった。
見かけた事のあるそこは、羽鳥先輩の寮部屋だと気付いた。



「は、とり……せんぱ……」
「起きた?ごめん、俺はもう学校行くけど」



ベッドに横になる俺の頭を撫でてくれた。



「ごめ、なさっ……俺、」
「いーよ。事情は聞かないし。なんかあったらすぐ呼んで」



笑顔で言ってくれた。
空気が柔らかいのに気付いた。
樹の家にいたときより、柔らかくて、温かい。
泣きそうになるのをこらえて、俺はただ頷いた。

学校は休んだ。
まだ身体がだるかったし――樹に会いたくなかった。
連絡がくるかも、と携帯を握り締めてはいたけれど、羽鳥先輩からの心配のメール以外、それが鳴ることはなかった。

風邪ひいて学校休んでたときは、休み時間のたびにメールがきた。
ちょっとげんなりするくらいに、樹は俺を気に掛けてくれてた。
それも、もうなかった。
もう、終わったと思った。



「うっ、……っひ、く」



何で俺、泣いてんだ。



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