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side.樹



朝起きたら机の上にメモが置いてあった。



『家に帰ります。しばらく来ません』



ぐしゃりとメモを潰した。
縋るものが俺じゃなく、羽鳥になった。
ただ、それだけなんだ。

一人が嫌いで、一人に怯えていた遥は、一人にならなかったら誰でも良かったのか。
俺はただ、遥の支えとなる資格を、失っただけ。



その日、遥は学校を休んだ。

俺には関係ないことだと、考えないようにした。



放課後、クラスで集めたプリントを生徒会室に持っていった。
昨日の皆川先生からの呼び出しも、この事。

がらりとドアを開けると、書類を作っているのかデスクでパソコンを立ち上げる―――羽鳥の姿がいた。



「………如月、くん。だよね」
「……これ、持ってきました」
「ああ、ありがとう」



非常に気まずかった。
プリントを手渡して、さっさと立ち去ろうとして、



「あのとき、ごめん。遥にも謝ったけど」
「………」



背中に声をかけられた。



「遥と、なんかあった?」
「………何で先輩がそんなこと、」



当事者じゃなければ、知らないはずがない。



「昨日の夜……今日の朝、かな。遥から電話で呼ばれた」
「っ………」
「事情は聞いてないけど、過呼吸起こしてたし、かなり混乱してた。今は俺の部屋で休んでる」



続きを聞かず、生徒会室を出た。
ドアを閉めるのが、思わず荒らぶった。



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