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ごとり、と。
目の前に飯が置かれた。
今日の晩ご飯はオムライスだ。
もっとも、俺のは小さめになっているけど。



「いただき、ます……」
「………」



あれから、樹はずっと黙ったままだ。
虚しくテレビだけが騒がしい。
あとはスプーンが皿に鳴る音だけ。

息苦しくて、俺は耐えられなくなった。
もう、怖い。



「っ……」



洗面所に駆けた。
吐き気が止まらなかった。
生理的嫌悪に身体が震えて、涙が止まらなかった。



「う、ぁっ……けほ、っ」
「………」



無言のままの樹が近づいて、背中を撫でてくれた。



「さわっ……な……っ!」
「………」



その手を振り払ったけれど、足元がふらついてよろけてしまった。
樹が口を濯いで、俺を抱き上げ、ベッドまで運んでくれた。
抵抗する気力は残っていなかった。
でも何で、無視したくせに優しくするのか、わからなかった。



「い、つき……」
「………」



涙で視界が滲む。

もう、いつもみたいに。
大丈夫だよって言うみたいに。
頭を撫でてはくれないの?



「俺、の事……きら、い……?」



暗闇に落ちるまで、樹は等々、俺と目をあわせてくれなかった。



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