4
 

その日。

待っても待っても―――樹は帰ってこなかった。



(なんなんだよ……)



俺は自然と早足になって、ぱたんと携帯を閉じた。

樹と連絡が取れない。
電源が切られているのか電話は通じないし、メールも見ているのかわからない。

完全下校時間まで粘った俺は見回りの先生に追い出されて、足早に樹の家に向かうところだった。
途中で皆川先生に会ったけれど、樹は1時間ほど前に帰ったとのこと。
待ち合わせは教室だって、残ったメールがそれを証明していた。
段々、不安になってくる。



「どこいんの?連絡ちょーだい」



留守電に吹き込んで、携帯をまたポケットにねじ込んだ。

忘れられた?避けられてる?驚かそうとしてる?事故にでもあった?
不安やらなんやら、色んな感情がぐるぐる回っていた。



とにかく、早く会いたい。
ただそれだけだった。



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