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俺は無事に熱も下がり、樹のお父さんも単身赴任先に戻ってしまった。
結局親子水入らずの時間を邪魔してしまったわけだけれど、「俺が選んだ事だ」と樹に言われたから、まあいいか、なんて。

3日ぶりに学校に来て、遅れを取り戻すために樹から勉強教えてもらった。
樹が、俺のために色んな事をしてくれた。

もう一人じゃないって、思った。



「だから、ここは公式使うんだ」
「え……?」
「……この公式、お前が休む前に習ったぞ」
「……ご、ごめんなさい」



樹の家。
前と同じ生活が始まった。

俺の家はまだ、家賃が母親の手によって振り込まれているけれど、荷物はほとんど残ってない。
樹の家に、完全に住まわせて貰ってる状態。

申し訳ない気持ちもたくさんあるけれど、謝ろうとすればそれを防ぐように樹がキスをした。
頭を撫でて、「ばーか」って言って優しく撫でてくれた。



これ以上のしあわせ、きっとどこにもない。



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