5
 

「けほ、っ……けほ」
「38.5度。……馬鹿は風邪引かないと思ってたのに」
「誰がばっ……げほげほ、ッ」
「馬鹿、寝ろ」



起き上がったままの俺に、如月が布団を押しつけた。



「声、枯れてるな」
「……おかゆ……」
「……はいはい」



憎まれ口叩かれても、撫でられる手は優しい。



(あれは、夢?)



如月の独白。
夢、だったのかな。



「如月、さ」
「んー」
「お母さん……死んだって、」
「えっ……あれ聞いて、」
「へ?」



どうやら夢じゃなかったらしい。
でも、俺にあてたものでもなかったらしい。



「うわ、寝てると思ってた」
「え?あれ独り言?」
「独り言っていうか、なんていうか」



腕で顔を隠す如月が、なんとなく赤い。



「じゃ……夢じゃないんだ。『傍にいるから』っての」
「おまっ……」
「なに照れてんの」
「お前だって昨日、寝ながら泣いてたくせに」
「えっ」



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