3
「ん……?」
「………」
浅い眠りから目が覚めて、ぼんやりとした視界の中。
布団とは違う温かさに、俺は包まれていた。
背中に回された大きな手。
額に感じる吐息。
耳元に聞こえる鼓動。
「き、さらぎ、?」
「……ん……」
寝ろとでも言わんばかりに、頭を胸に引き寄せられた。
「な……いつの、まに」
「………寝ろ」
頭を撫でられて、瞼が重くなってきた。
なんで一緒に、とか。
ごめん、とか。
風邪うつるよ、とか。
思うことはたくさんあったけれど。
(ま、いっか……)
心地良いから。
うずくまって如月に寄ると、苦笑された。
「……かわいい」
ひどく、優しい声だった。
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