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side.樹
電話を終えて寝室に戻ると、微かに汗をかきつつ、遥は和らいだ表情で眠っていた。
ベッドに膝をついて額に張り付いた前髪をはらってやると、遥が身動ぎして裾をつかんできた。
「遥?」
「……ん、……」
眉間に皺をよせて。
握り締める手に力をいれて。
「……や、……で」
「?」
「行、かな……で……」
ポロポロと。
涙を流していた。
ぎゅう、と胸が詰まる想いだった。
もどかしくて、やるせなくて。
置いていかれたねこの様。
「……ごめん、な」
頬の涙を指で拭ってやった。
何もしてやれない申し訳なさでいっぱいだった。
「俺が、いてやるから」
ずっと、お前の傍に。
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